・稼穡稲荷社とは、どんな神社なの?
・「稼穡」とは、どんな意味?
・小さな神社だけど、そのような由来があるの?

稼穡稲荷社は小さな神社ですが、境内の説明板を読んでみると、今ここにお祀りされているまでの物語が残されていました。

私は実際に稼穡稲荷社へ参拝に上がり、境内の説明板を読んで、この神社がここにあるまでの物語を知りました。

記事を読んでから訪れることで、社殿を見るだけでは気付かなかった稼穡稲荷社の物語にも目を向けながら参拝できます。

小さな神社にも、今ここにあるまでの物語があります。

稼穡稲荷社(かしょくいなりしゃ)とは

まずは、現地に記されていた説明板を紹介します。

稼穡稲荷社 かしょくいなりしゃ

 稼穡稲荷社は、別名荏川稲荷ともいい、祭神は宇迦能比売(うかのひめ)命である。
この稲荷のはじまりについては、こんな話が伝わっている。
薩摩屋敷から六行会がこの土地をゆずりうけたとき稲荷社は北東の旧目黒川の方にあった。
そこでそんな隅にあったのをたいそう気にしていた六行会の生みの親ともいえる山本伴曽は、ある夜狐の嫁入りの夢を見た。山本伴曽は荏原神社の神主であった鈴木播磨に頼んで、伏見稲荷さんを分請したとゆうのである。
そしてそれは文久元年(一八六一年)という。
稼は植える、穡は収める、とりいれを意味し、農業の意味である。
稼はカセギともよみ、かせぎためると読み替え商売繁盛の神として命名した。
稲荷の祭りは、春に田の神を里に迎える二月の初午である。赤い旗や白い旗をたて、地口行灯を立て、世話人が赤飯を蒸して、町内の子供たちや参詣人に配った。
子供たちは、太鼓をたたき町内を回り、各家庭から菓子などをもらって歩いた。
そんなお稲荷さんの初午は、昭和初期まで残っていた。

一般財団法人 六行会りっこうかい

📸2025年6月6日

稼穡稲荷社は、東京都品川区北品川に鎮座する小さな稲荷社です。

境内には、稼穡稲荷社の由来を伝える説明板が立っています。

私がこの説明板を読んで特に心に残ったのが、山本伴曽さんという一人の方の存在でした。

山本伴曽の想いとともに歩んできた神社

説明板を読んで、私が特に心に残ったのは、山本伴曽さんについて書かれたこの一文でした。

「そこでそんな隅にあったのをたいそう気にしていた」

稼穡稲荷社は、旧目黒川の方にあったと記されています。

山本伴曽さんは、その稲荷社が隅にあったことを「たいそう気にしていた」。

私はこの言葉から、山本伴曽さんが稲荷社のことをずっと気に掛けていた様子を感じました。

説明板にはその後、山本伴曽さんが狐の嫁入りの夢を見たこと、鈴木播磨さんに頼んで伏見稲荷から御分霊をお迎えしたこと、そして元禄元年(1861年)のことであったと記されています。

「たいそう気にしていた」

私には、この短い言葉がとても心に残りました。

今、私たちがこの場所で稼穡稲荷社に参拝できるまでには、一人の方の名前と、こうした物語があったことを知りました。

そして何百年もの時を経た今も、境内の説明板には「山本伴曽」というお名前が残されています。

私はこの説明板があったからこそ、山本伴曽さんのお名前を知り、その物語に触れることができました。

稼穡稲荷社へ参拝に上がられた時には、ぜひこの説明板にも目を向けてみてください。

「たいそう気にしていた」という言葉から何を感じるのか。

それは、説明板を読まれた方それぞれに感じていただけたらと思います。

稼穡(かしょく)の意味

「稼穡稲荷社」という名前を見た時、私は最初に「稼穡とは、どんな意味なのだろう」と思いました。

境内の説明板には、

「稼は植える、穡は収める、とりいれを意味し、農業の意味である。」

と記されています。

「稼穡(かしょく)」とは、作物を植え、実ったものを収穫することから、農業を意味する言葉です。

普段あまり目にすることのない「稼穡」という言葉ですが、意味を知ると、稼穡稲荷社という名前にも農業とのつながりがあることが分かりました。

神社の名前に使われている言葉を一つ調べてみるだけでも、その神社を知るきっかけになりますね。

「稼穡稲荷のイチョウ」 品川区指定天然記念物

説明板

品川区指定天然記念物

稼穡稲荷(かよしょくいなり)のイチョウ

所在 北品川二丁目三十二番三号 稼穡稲荷

指定 昭和五十三年二月十四日(第四号)

 イチョウはイチョウ科に属する落葉の高木で、高さ三十メートルにもなり、葉は扇形で秋に黄葉(こうよう)する。雄雌(めすとおす)それぞれの別の木となる。
 本樹は雄木で、幹の周りは四・一メートル、高さは二十三メートルあり、推定の樹齢は五百年から六百年である。木の勢いも盛んで、姿も整っており、本区内のイチョウの中でも屈指の巨木である。
 本樹は、長い間稼穡稲荷社の神木として保護されてきた古木で、遠くからの景観も大変美しい木である。

 平成七年三月三十一日 品川区教育委員会

稼穡稲荷社で、もう一つ目を引いたのが境内にそびえる大きなイチョウです。

「稼穡稲荷のイチョウ」として、昭和53年(1978年)3月14日に品川区指定天然記念物に指定されています。

現地の説明板によると、イチョウは高さ約30メートル、幹の周りは約4.1メートル、樹齢は500年から600年。

木の勢いも盛んで姿も整っており、本区内のイチョウの中でも屈指の巨木と紹介されています。

また、説明板には、

「長い間稼穡稲荷社の神木として保護されてきた古木」

と記されています。

500年から600年という年月を思うと、山本伴曽さんが稼穡稲荷社を気に掛けていた時代よりも前から、この場所の歴史を見てきたことになります。

私が訪れた6月は青々とした葉が茂り、見上げるほどの大きなイチョウでした。

小さな稼穡稲荷社のそばで、何百年もの間大切に守られてきた御神木。

社殿だけでなく、境内の大きなイチョウにもぜひ目を向けてみてください。

出典:現地「稼穡稲荷のイチョウ」説明板(品川区教育委員会)/2025年6月6日撮影

稼穡稲荷社 基本情報

名称稼穡稲荷社(かしょくいなりしゃ)
住所〒140-0001 東京都品川区北品川2丁目32−3
電話番号
公式サイト・SNS
御朱印確認できませんでした
開閉門時刻24時間
滞在時間15分

稼穡稲荷社 アクセス・駐車場

最寄り駅京急本線 新馬場駅(セブンイレブンを目印にするとわかりやすいです)
アクセス徒歩5分
駐車場

💡 セブンイレブンが目印 
私は交差点まで来ても新木場駅が見つけられず、近くにいた女性に尋ねて教えていただきました。

稼穡稲荷社 御祭神・御利益・創建

御祭神宇迦能比売命(うかのひめ)
御利益商売繁盛
分請文久元年(1861年)伏見稲荷から分請したと伝わる

稼穡神社 まとめ

稼穡稲荷社を訪れて、小さな神社にも、今ここにあるまでの物語があることを改めて感じました。

山本伴曽さんのことを知ることができたのも、境内に残されていた説明板を読んだからです。

これから神社を巡る時には、社殿や狛犬、彫刻だけでなく、そこに残された説明板にも、今まで以上に目を向けてみたいと思います。

そこには、その神社が受け継がれてきた歴史や、今まで知らなかった人の名前が残されているかもしれません。

神社に残された小さな物語を知ることも、神社巡りの楽しみの一つ。

稼穡稲荷社は、私にそんな新しい楽しみ方を教えてくれた神社でした。

新馬場駅から約2時間で巡る神社巡りコース

この神社を含め、新馬場駅から約2時間で巡る神社巡りコースは、こちらの記事から↓
「京急 新馬場駅からの神社巡り!品川神社・荏原神社を巡る約2時間コース(東京都)」

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